旅の楽しみは、訪れた土地の“ならでは”を体感すること。
名所、お店、食べ物、景色などなど。
いろいろある中で、
自分にはひとつかかせないものがあります。
郷土玩具です。
玩具の作り手や、授与品がある神社など、
なるべく訪れる機会をつくるようにしています。
東大寺のそばにある手向山八幡宮の授与品、
「立絵馬」です。
馬の形をした薄い板に描かれているのは、
国宝に指定されている唐鞍(からくら)という馬飾りをつけた黒馬。
絵は両面に同じように描かれていて、
しかも、手描きなんです。
手描きならではの味わいと雰囲気があります。
台座に差し込んで、立てます。
絵馬の方の差し込み部分は、
手で削っていると思います。
手間暇をかけてつくられているなぁ。
清水晴風(しみずせいふう)が描いた『うなゐの友』という玩具の画集があり、
その六巻(大正2年刊)には、
今と同じような絵で載っているのですが、
下記リンク先で見られるものは少し違っています。
時期や作り手によって、変化するのも面白味のひとつ。
昔は、雨を願う時は黒馬を、
晴れを願う時は白馬をという風に、
生きた馬を奉納しました。
ただ、その馬を飼わなければならず、
お金も手間もかかるため、
やがて土や木でつくった馬形が、
生きた馬の代わりになりました。
そんな古くからの形が伝わってきている立絵馬。
これをもっと単純にしたのが、
どこの神社でも目にする、おなじみの絵馬です。
もうひとつ紹介。
春日大社で授与されている「鹿みくじ」。
くわえているのはおみくじです。
ちなみに、手水所の伏鹿は巻き物をくわえていました。
神社で狐が巻き物をくわえているのを目にしたことはありませんか?
あの巻き物は経典といわれています。
この鹿みくじも、年代はわかりませんが、
比べてみると、少しだけ趣きが違います。
その時代の嗜好に合わせているのが感じられますね。
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